ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
手の中のミカコさんをジッと見る。
もぞもぞと動いてから、落ち着き場所を決めて丸まった。
頭を小さな手で擦り、毛づくろいもしている。
いつもと何ら変わらないハムスター的行動で、
お礼を言っているようには見えなかった。
別にそれでもいい。
お礼を言われても困ってしまう。
お礼じゃなくて、私は謝る側なのだから。
ミカコさんを顔の高さまでそっと持ち上げ、謝った。
「ミカコさん、ごめんなさい。
これからは気をつけます。
だから……たまにはケージから出して、私と遊んでもらってもいいですか?」
ミカコさんの代わりに、久遠さんが「いいぞ」と許可してくれた。
私の手からミカコさんを取り上げ、
「いいだろ?な?」
そう話し掛けて、チュッとキスしている。