ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
夏美の改良に盛り上がる三人を残して、私は帰ろうとした。
時刻は20時半。
お腹がペコペコで、早く帰りたい。
「あのー、会議室の片付けお願いしますね」
そう言い残してドアに向かい、
出て行こうとした。
その時、後ろから、
私の髪の毛をかすって、
長い腕がズダンとドアに突き立てられた。
驚いて肩越しに振り向くと、
変な久遠さんが、眉間にシワを寄せて私を見ていた。
「帰さねぇ」
彼は確かにそう言った。
中身は変でも、イケメンだ。
至近距離でそんな甘い台詞を言われては、赤くならないわけにいかなかった。
でもそれは、一瞬だけ。
照れはすぐに、腹立たしさに変わる。
スパイ疑惑が晴れたのに、今度は何だと言うのか?
もしや、いつ終わるとも分からない彼らの話し合いを待ち、
会議室を片付けてから帰れとでも言いたいのか?