ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
いつものチャラ男ジョークで私をからかってから、
堂浦さんは、今度は山田太郎に言った。
「山田くん〜、夏美ちゃんは俺ッチの妹みたいなもんだから、イケナイことしちゃ駄目よ?
次にまた近づくようなことがあれば……
容赦しないから、覚えておいてね(ハート)」
口調は相変わらずユルユルでチャラいけど、
堂浦さんの笑顔が怖かった。
笑顔で人を脅せるなんて、堂浦さんならではだろう。
山田太郎もびびっていた。
一歩後退して、同じ営業部の一応先輩である堂浦さんに、
「すみませんでした!」
と勢いよく頭を下げた。
それからピューッと走って逃げ去り、備品保管庫から出て行った。
これで二度と、山田太郎は私に探りを入れてこないだろう。
ホッと息を吐き出す私の頭に、
大きな手の平が乗せられた。
それは、久遠さんの手。
「よく喋らなかったな。偉いぞ」
彼はそう言って、頭をポンポンして褒めてくれた。