ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
◇◇◇
なぜ、こんなことに……
夜10時半、
大きなボストンバッグに数日分の衣類や日用品をつめこみ、
私は今、久遠さんの住むマンションにいた。
二ヶ月の同居生活を命じられ、
男三人の中から同居相手を選べと言われたのは、
つい二時間前の話だ。
私の直属の上司、三国主任と、
営業部チャラ男の堂浦さん。
イケメンだけど中身が変な、
久遠さん。
どうしても選ばなければならないのなら、
私は三国主任を選びたかった。
三国主任は、三人の中で唯一の知り合いだし、
優しくて真面目で、女の子を無理やり襲ったりしないだろう。
ところが、私が指名する前に、
三国主任に同居を断られてしまった。
「僕は無理なんだ。
同期のお前達にもまだ言ってなかったことだけど、
来月、結婚する予定で。
既に彼女と一緒に暮らしているから……」
それが理由だった。