ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
抱えていた布団を投げ捨て、久遠さんのワイシャツの腕にしがみつき、
返答を待つ。
すると彼は、私から目をそらした。
足元の絨毯を見つめて、黙り込んでいる。
そんな反応を見せるということは、ダメだったのか……。
プレゼン前の久遠さんからは、
自信が感じられた。
最有力候補と言われ前評判も高く、きっと勝つだろうと思っていた。
それなのに、負けてしまったなんて……。
酔いも頭痛も忘れて、ガッカリした。
久遠さんは俯いたまま、顔を上げない。
大きな背中がいつもより小さく見えて、悲しくなった。
私も悲しいけど、きっと久遠さんの落胆の方が遥かに大きいはず。
今私がやるべきことは、凹むことじゃない。
何とか励まさないと。
「あの……今回は残念でしたけど、また半年後にプレゼン大会がありますし……
そ、それに夏美はダメでも、研究開発部で手がけたビールは、次々商品化されているんですよね?
久遠さんが世に出したビールは、数多くあると聞きました。
すごいです。本当にすごいと思います。
ですから、あの……
そんなに落ち込まなくても……」