ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
何と言葉をかけていいのか分からなくて、しどろもどろにそう言った。
すると、落ち込む彼の肩が、小刻みに震え出した。
片手で顔を覆っている。
泣いているかと思い、私は慌てた。
「久遠さん、ええと、あの、えーと……
そうだ!泣くなら、胸を貸しましょうか?」
ブフッと吹き出す声が聞こえた。
顔を上げて振り向いた彼は、
おかしそうに笑っていた。
ひとしきり笑ってから、久遠さんは意地悪な笑みを浮かべて、
ポカンとしている私に言った。
「勝った。“夏美”が来年夏の新商品に決まった。
ビールもプレゼンも完璧だ。
俺が作ったモノが、負けるわけないだろ」
一瞬、無言になる私。
騙されたと気づいて、久遠さんに詰め寄った。
「酷いです!
私、本気で心配したのにっ!」