ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
ベッドの上で膝立ちし、当たらないと分かっていながらパンチをくり出す。
その手はやっぱり、宙で捕らえられてしまった。
手首を強い力で引っ張られ、
気づけば、彼のワイシャツの胸に頬を当てていた。
背中に回されているのは、たくましい二本の腕。
抱きしめられている気がするのは、気のせい……?
それともこれは、夢の続きなの?
心臓が爆発しそうに高鳴る中で、
低く艶のある声が耳に忍び込む。
「夏美、二ヶ月間、情報を守ってくれてありがとう。
同居を強いて、悪かったな。
これからはお前の自由にしていいから……」
“ありがとう”の言葉は嬉しい。
でも、その後は嬉しくなかった。
さっきの夢みたいに冷たい台詞じゃないけど、言われた内容は同じ。
二ヶ月の同居は、もうお終い。
マンションから出て行けと言われているのだ。