ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
温かい腕の中で、目に涙が溜まって行く。
もっと同居を続けたいと夢の中では言えたのに、
現実では言えるわけがない。
彼女でも友達でもない。
同じ会社の人間という希薄な関係で、同居をせがむ資格はない。
こんなに胸が苦しいのは、久遠さんに惚れてしまったせいだ。
こんなことなら、好きにならなければ良かったのに……。
久遠さんに気づかれないようにそっと涙を拭いた時、
部屋の外に笑い声を聞いた。
「でさ……俺ッチが……アハハハッ」
それは間違いなく堂浦さんの声。
きっと隣には、三国主任がいると思う。
声は徐々に大きくなって、
二人の会話がハッキリ聞き取れるまでになった。
この部屋のドア前で話し込んでいる……そんな感じの聞こえ方だ。