ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
悲しみとも怒りともつかない感情で、胸の中が埋め尽くされる。
本当は、声を大にして苦情を言ってやりたいところだが、
グッと我慢する。
私は大人。分別ある大人。
ホテルの廊下で騒ぎ立てるべきではないと、分かっている。
大声ではしゃいで、ショックな言葉を口走る、
堂浦さんなんかより、ずっと大人なのだから。
溢れそうな悔しさと怒りを飲み込み、
ベッドサイドに置いてある自分のバッグを手に取った。
パンプスに足を入れ、ドレスのシワを伸ばし、
背筋を伸ばして出口に向かう。
廊下に出ると、気まずい顔した男三人が、揃って私を見た。
三国主任はオロオロし、頭を下げてすぐに謝ってきた。
「田丸さん、申し訳ない!
今のは言葉が過ぎただけで、君を罠にハメたわけでは……」
今さら何を言う気だと、呆れてしまった。
さっき思いっ切り『作戦が見事にハマった』と二人で話していたのに。