ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
目の前に立っていたのは、久遠さんだった。
呼吸を乱しているところを見ると、走って追いかけてきたようだが、
真後ろに立たれたことさえ、全く気づいていなかった。
久遠さんが言う。
「お前、迷ってたのか?
出口はこっちじゃないぞ?」
図星を差されて、赤面する。
「そ、そんなの、分かってます!
会場に誰か残っていないかと思って、ちょっと見に来ただけです」
頬を膨らませ、久遠さんの横をすり抜けようとしたが、
ガシリと腕を掴まれた。
振りほどこうとしても、強く掴まれ解けない。
「離して下さい!」
「駄目だ。
誤解を解くまで離さない」
「誤解?言い訳の間違いじゃないですか?
離して。 離さないと、痴漢だって叫びますよ?」