ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
家に着いてスマホを見ると、
着信が3件入っていた。
それらは全て、久遠さん。
メールも一通あった。
《どこにいる?
社内にいないのか?》
そのメールは5分前に送られてきた物で、
《すみません。
先に帰りました》
そう、返信した。
今夜はふたりでお鍋をつつこうと思っていたが、とてもそんな気分になれなかった。
鍋にうどんのツユを作り、
ダイニングテーブルに空のどんぶりと箸、それからメモを置く。
『冷凍うどんを鍋に入れ、火にかけて食べて下さい』
久遠さんの簡単な夕食だけ用意して、私は夕食をとらなかった。
『付き合っていない』
久遠さんの言葉が頭の中でリフレインして、胸が苦しい。
食欲なんてまるで湧かなかった。