ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
◇◇◇
翌日――。
あれから久遠さんとは「おはよう」としか、会話を交わしていなかった。
喧嘩しているわけじゃないけど、
昨夜の一件で、何となく気まずくなってしまった。
いつもなら退社時間が待ち遠しいのに、今日は帰りたくなくて、
仕事終わりに由香を居酒屋に誘った。
そういえば、由香と飲みに行くのは久しぶり。
同居生活が始まってから、初めてのことだ。
快く誘いに乗ってくれた由香だけど、
安居酒屋で乾杯したあとは、お説教タイムに突入してしまった。
生ビールの中ジョッキを一気に半分飲み干し、由香が呆れたように言う。
「はぁ? それで、付き合いたいと思わないと言ったの?
あんた、馬鹿?
自分からチャンスを棒に振ってどうすんのよ!」
「だって……」
昨夜の久遠さんからの質問。
私が二人の関係をどうしたいかという問いは、ズルイと思ったけど、
由香はアレがチャンスだったと言う。
私が付き合って欲しいと言えば、
彼はOKしたと言うのだ。
私には、そうは思えない。
久遠さんは私に愛情を向けていないし、
それにやっぱり私は、将来結婚してくれる人じゃないと、
恋人関係になれないし……。