ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
フランス料理店を出ても、まだ雨は降り続いていた。
お店の人に呼んでもらったタクシーに、ふたりで乗り込む。
「あの、私、品川駅で下ろして頂ければ、そのあと電車で帰りますので」
時刻は21時。
帰る気満々でそう言ったのだが、
タクシーの運転手に片岡さんが告げた行き先は、別の場所だった。
「ハリストン・パークホテルまで」
ホテル!?
その言葉に驚いて、彼のコートの袖を思わず掴んだ。
異論を訴える私の手は外されて、手と手でしっかりと繋がれた。
紳士的な笑みを浮かべる片岡さんに、こんな説明をされる。
「まだ9時を回ったばりです。
もう少しいいでしょう?
ホテルの最上階に素敵なバーラウンジがあるんです。
一杯だけ、お付き合い頂きたい」