ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


フランス料理店を出ても、まだ雨は降り続いていた。



お店の人に呼んでもらったタクシーに、ふたりで乗り込む。




「あの、私、品川駅で下ろして頂ければ、そのあと電車で帰りますので」




時刻は21時。

帰る気満々でそう言ったのだが、

タクシーの運転手に片岡さんが告げた行き先は、別の場所だった。




「ハリストン・パークホテルまで」




ホテル!?

その言葉に驚いて、彼のコートの袖を思わず掴んだ。



異論を訴える私の手は外されて、手と手でしっかりと繋がれた。



紳士的な笑みを浮かべる片岡さんに、こんな説明をされる。




「まだ9時を回ったばりです。

もう少しいいでしょう?


ホテルの最上階に素敵なバーラウンジがあるんです。

一杯だけ、お付き合い頂きたい」




< 282 / 453 >

この作品をシェア

pagetop