ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
家を出る時、22時までに帰ると久遠さんに言って出てきた。
一杯だけなら、帰宅時間はちょうど22時頃になりそうだ。
時間的にはギリギリ大丈夫といった感じだが、
今日のお見合いは食事までというお話だったので、
余力を残していないというか、
正直疲れて、もう帰りたかった。
それに、場所がホテルというのはちょっと……。
いいと言えずに考え込む私に、
彼は有効な一打を与えた。
「まさか、警戒されているのですか?
そうであるなら、また傷つくところです。
あくまで僕は、美味しいお酒を飲みながら、
君に綺麗な夜景を見せたいと思っているだけです」
そう言われてハッとした。
さっき信じる努力をするよう言われたばかりなのに、また疑ってしまった。
そのことに慌ててしまい、やましい気持ちを隠すため、つい「行きます」と了承してしまった。