ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


確かにヨーグルト味で、アルコール度数も低いけど……

何これ? なんか苦い。



子供の頃、病院で処方された粉の風邪薬がどうしても飲めなくて、

母がヨーグルトに混ぜて飲ませようとした時のことを思い出した。



このカクテルはそんな味。



苦くて顔をしかめて、片岡さんに聞いた。




「あの、この苦味は一体何の……」




質問の途中だが、続きを喋れなくなった。



急に視界がグニャリと歪み、強烈な眠気が襲ってきた。



意識が強制的にどこかへ連れ去られる感覚だ。



テーブルに突っ伏すように倒れ込んでしまい、

膝に乗せていたスマホが床に落ちてしまった。



落ちた直後に、聞き慣れた着信メロディが耳に届いた。



それは、久遠さん用に設定した着信メロディだ。



22時になっても帰らない私を心配し、きっと電話してきたのだと思った。



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