ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


 ◇◇


目が覚めたのは、おそらく数時間後のこと。



目覚めた瞬間に見ていた夢の内容を忘れてしまったが、

すごく怖い夢だった気がした。



目を開けても、まだ頭はぼんやりと霞みがかっている。



あくびを一つして起き上がろうとしたが……

起き上がれないことに気づいた。



姿勢は、ベットに大の字。

手足が四方向から、何かに掴まれている感覚があった。



恐る恐る自分の手首に目を向け、驚愕した。



紐で縛られ、ベットフレームに固定されているのだ。




「何これ……」




寝ぼけてぼんやりしている場合じゃなくなり、

頭をフル回転させて状況把握に努めた。



ここは、見慣れない部屋の中。


誰もいない。

私一人だ。



寝ているシングルベッドが一つに、鏡台とテレビ、クローゼット。



小さなテーブルセットもあり、

テーブルの上には広げられたノートパソコンが、画面を青白く光らせている。



照明は消されて、

カーテンを引いていない窓からは、雨で歪んだ夜景が見えた。



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