ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
“BX-091"という名前を聞いたのは初めてだった。
久遠さんからは何も聞かされていないけど、
最近は家に仕事を持ち帰り、リビングではなく寝室にこもって、ノートパソコンに向かう姿を見ている。
その仕事がBX-091に関係することなら、
自宅のノートパソコンにも、データが入っているということになる。
ノートパソコンを盗もうと思えば、同居している私になら可能だけど、
そんなこと、絶対にしたくない。
私が捕われている目的は、人質ではなく手下として使うためだと彼は言った。
そんなの……
「絶対に嫌。
久遠さんを裏切る真似はできません」
怯えはどこかに消え去っていた。
胸の中にふつふつと怒りが沸いている。
精一杯彼を睨みつけ、きっぱりと拒否した。
すると、起き上がることもできない私を見下ろし、
彼が笑い声を上げた。
「何が可笑しいのよ!」
「可笑しいよ、ハハッ!
あんた、自分の状況見えてないからさ。
今、自分がどんな姿になってんのか、見てごらん?」