ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


見てはいけない物を、見てしまった……。



慌てて視線を逆サイドに振ると、

今度は別のデスクが見えてしまう。



白衣に長すぎる黒髪の女性が、
ユラリと立っていた。



それだけでもお化けみたいで怖いのに、

机上で何かがボフンと爆発し、
紫色の煙が立ち上るから、


「キャア!」と叫んで、

つい、久遠さんの背中にしがみついてしまった。



足を止め、彼が肩越しに振り向いた。



迷惑そうな目で私を見下ろし、
こう言った。




「歩きずらい。離れろ」



「で、で、でも!

何かが爆発して、毒ガスみたいな煙がモクモクしちゃってますけど、

大丈夫なんですか!?」



「いつものことだ。
全く問題ない」




思わず抱きついてしまうほどに、私が驚いたことが、

この部署では、いつものことらしい。



研究開発部って……ミステリー。




< 36 / 453 >

この作品をシェア

pagetop