ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
見てはいけない物を、見てしまった……。
慌てて視線を逆サイドに振ると、
今度は別のデスクが見えてしまう。
白衣に長すぎる黒髪の女性が、
ユラリと立っていた。
それだけでもお化けみたいで怖いのに、
机上で何かがボフンと爆発し、
紫色の煙が立ち上るから、
「キャア!」と叫んで、
つい、久遠さんの背中にしがみついてしまった。
足を止め、彼が肩越しに振り向いた。
迷惑そうな目で私を見下ろし、
こう言った。
「歩きずらい。離れろ」
「で、で、でも!
何かが爆発して、毒ガスみたいな煙がモクモクしちゃってますけど、
大丈夫なんですか!?」
「いつものことだ。
全く問題ない」
思わず抱きついてしまうほどに、私が驚いたことが、
この部署では、いつものことらしい。
研究開発部って……ミステリー。