ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
あちこちで怪しい研究や、変な呟きが聞こえる一帯を無事に通過して、
広いフロアの、突き当たりにたどり着いた。
そこには白いドアが一つあり、
“部長室”とプレートが付いていた。
「俺の部屋」
久遠さんはそう言って、ドアを開けた。
不思議に思った。
彼の社員証には確か“上席主任研究員”と書いてあった。
彼の肩書きは、主任のはず。
部長室が“俺の部屋”とは、一体どういうことだろうか?
疑問を聞けないまま、中に入った。
10畳ほどのスペースは、物で溢れそう。
スチール製の書棚には、ファイルや英語の表題がついた文献が、ギッシリ詰め込まれている。
入り切らないものは、床に積み上げられていた。