ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
目の前でバタンと閉められたドアを見て、嫌な気持ちになった。
外に出された現彼女の私と、中に入り込んだ元彼女。
それを物凄く不快に思ってしまうのは、心が狭いせいなのか……。
しばらくドア前で立ち尽くしていると、同じ階の住人が廊下を歩いてきて、
不審の目を私に向ける。
「この女何してんだ?」と言いたげな視線に恥ずかしくなり、慌ててその場を立ち去った。
マンションを出ると、空は綺麗な茜色。
その暖色系のグラデーションに、少しだけ心が慰められた。
久遠さんは“仕事の話"と言っていたし、
私が変に不安に思う必要はないのだろう。
美果子さんと付き合っていたのは10年も昔のこと。
今更、どうこうなるはずないよ……きっと……。
財布は手元にあるけど、カフェなどで時間を潰す気分になれず、
歩いて数分の、小さな児童公園に入った。