ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
遊んでいた子供達は家に帰ったのか、誰もいない。
人気のない公園は、淋しげに見えた。
ブランコに座って、マンションの方向を見た。
夕日を浴びるマンションの外壁は、とても温かそう。
美果子さんが来なかったら、今頃は久遠さんとふたりで、
ビールを飲みながら、すき焼きを食べていたはずなのに。
グラスに注いだビールの夏美は、もう泡が消えてしまったことだろう。
すき焼きも、お肉が固くなり、長ネギも春菊もクタッとなっているに違いない。
ふぅーと、長い溜息を空に向けて吐き出した。
マンションを見るのをやめて、足元を見ながらブランコを揺らした。
油の切れたブランコは、キィキィ鳴って耳障り。
それでも他に気を紛らわせることを思い付けないので、漕ぎつづけていた。