ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
◇◇◇
数日後――。
今日の午後一の仕事は、応接室へのお茶出しだった。
日本のビール会社が一堂に会するイベントを、今年の冬に企画しているそうで、
その主催側の責任者がうちの会社に、企画説明と参加のお願いに来ていた。
由香とふたりで応接室にお茶出しし、
空のお盆を下げて、今、給湯室に戻ってきたところ。
給湯室の扉をパタンと閉めると、作り笑顔を消して深い溜息をついた。
味も素っ気もない丸椅子に座り、
おまけの溜息をもう一つ。
私がそんな風になっている理由は、お茶出しで何か失態をやらかしたからではなく、
やっぱり久遠さんに関して。
由香はお茶菓子の残りの高級チョコレートを勝手に摘んで口に入れ、
もぐもぐしながら呆れたように私に言う。
「今日は落ち込みモードなんだ。
昨日は確か……大丈夫!私は間違ってない!愛が一番大事だもん!
とか、ほざいてなかった?
最近の夏美は、浮き沈みが激しすぎる。
ウザイから、浮かれるか落ち込むか、どっちかにして」
「ひどっ……」