ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


それを聞いた時、単純な私は喜んでしまった。



久遠さんの功績を奪って追い払ってから、

やっぱりその先は、自分達だけじゃ無理だったと気付いたってことでしょ?



自業自得の美果子さんに、同情はいらない。


ザマーミロ!って感じ。



どうしても“恋人を裏切った"という過去をメインに考えてしまう私と違って、

久遠さんは研究者らしい考えを巡らせていた。




『あれは画期的なバイオエネルギーなんだ……。

アレが実用化できれば、世界にエネルギー革命を起こせる。

石油などの化石燃料に頼らない未来が約束される。

10年前の俺の基礎研究を、実用化までもっていくことは、未来の人類のためなんだ……』




エネルギー革命……?

未来の人類のため……?


スケールが大き過ぎる話に、私はポカンと口を開けるだけだった。



相槌すら打てない間抜け面した私に、久遠さんは話し続けた。




『美果子に頼まれた。

研究所に戻って、手伝って欲しいと。


アレは一年二年で終わる仕事じゃない。

やるなら10年……いや、もっと長期を覚悟しなければならない。


夏美、俺と一緒にアメリカで暮らさないか?』




< 378 / 453 >

この作品をシェア

pagetop