ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


日曜日の出来事をそこまで話した時、

三つ目のチョコレートに伸ばしていた由香の手が、ピタリと止まった。




「それで、夏美は何て答えたの……?」




そう聞いた由香の顔には、不安の色が滲んでいる。



保守的な私の性格上、「行く」と言わないのが分かっているせいだ。



その通りだった。


私は「行く」と言えなかった。



不十分な英語力で、見知らぬ外国暮らしは、想像しただけで怖い。



大変そうな研究だから、久遠さんはきっと、今以上に忙しくなると思う。


私に構っている余裕もないくらいに。



知り合いもいない外国で、一人ぼっちで久遠さんの帰りをひたすら待つ日々は、孤独の一言。



加えて、美果子さんと一緒の職場なんて……。



元サヤに戻る確率0%と言われても、

もし向こうが強引に迫ってきたらとか、卑怯な手を使ってきたらとか、

久遠さんが仕事に行っている間中、不安で悶々と考え続けてしまって、

そのうち、頭が変になってしまうかも知れない。




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