ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
アメリカには行かない。
そう答えを出しても、心はまだ揺れていた。
「由香……。
私、間違っているかな?」
そんなことないと言って欲しかったのに、由香にこう言われてしまった。
「間違ってる。
男の夢を潰す女は、いい女と言えないよ?
それとも、夏美の好きって気持ちは、その程度だったの?」
その程度と言われると、腹が立つ。
いい加減な思いなら、こんなに悩んだりしない。
すごく好きだから、胸が痛いのに。
丸椅子から立ち上がり、声を大に言い返してしまった。
「久遠さんが好きだよ!大好きだよ!
でも、怖いんだから仕方ないじゃない!
知らない外国で、日中はずっと一人ぼっちだよ?
美果子さんが久遠さんに迫ってくるかも知れないし、私きっと不安でたまらなくなる。
私が不安定になれば、久遠さんは放っとけなくなって、仕事に集中できない。
私は邪魔なんだよ。
例え付いて行ったとしても、大事な研究の邪魔にしかならない。
自分が怖いだけじゃなくて、重荷になるのも嫌なんだよ!
久遠さんが好きで色々考えちゃうから不安なのに、由香には私の気持ちなんて分からないんだよ!」