ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
耳に忍び込む静かな声に、私の心が大きく波打つ。
さっきまでの比じゃなく、大量の涙が溢れていた。
こういう甘い台詞は苦手なはずなのに、久遠さんは私のためにきちんと言葉にしてくれた。
『愛している……お前が思うより遥かに強く……』
もういい。
もう十分だよ、久遠さん。
今、一生分の愛をもらった気分。
その言葉があれば、私は離れても前を向いて生きていける。
久遠さんを、自由にしてあげたい……。
迷いは消えた。
手で目元をごしごし擦って、彼と向かい合った。
「久遠さん、アメリカに行ってください。
やりたい研究をして下さい」
微笑んで言った私の言葉に、久遠さんは表情を曇らせた。
「お前はどうする気だ?
まさか……」
その“まさか"なことを決意しているけど、今は言えない。
嘘だと悟られないよう、ぎゅっと抱き着いて、白衣に顔を埋めた。