ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
定食を食べ終え箸を置くと、
久遠さんが言った。
「食い終わったな?
三国を呼ぶから、迎えが来るまでここにいろ。
一人で社内をうろつくなよ」
相変わらずの、私への不信感たっぷりな言葉に、
呆れてしまう。
どんなに魅力的な男性でも、
彼を好きにならないと改めて思った。
さっき、少しだけドキドキしてしまったのは、
きっとこの環境のせいだ。
見慣れたはずの、社内にあった未開の地。
その中の隠れ家的個室に二人切りなんて、ドキドキして当たり前だ。
そんな風に、自分の心に言い訳していると――
「お〜い、久遠く〜ん!」
突然、誰かの声が聞こえた。
その声は、私の後ろから聞こえたもので、
ドアと逆側だ。
この部屋には、私と久遠さんしかいないはずなのに……何で!?