ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
「な、夏美ちゃん!?」
吉本さんが、驚きの声を上げた。
久遠さんの挨拶を、最後まで聞いていられなかった。
我慢できなくなった私は、前に立つ男性社員を押しのけ、人を掻き分けて、前に飛び出した。
私の姿を見ても、久遠さんはそれほど驚きはしなかった。
僅かに眉を上げただけ。
やっぱり私がこの会社にいると承知の上で、来たみたい。
4年ぶりの私を見て、久遠さんはニヤリと笑った。
「夏美、久しぶりだな。
元気そうで良かった」
「良かった……じゃないですよ!!
ちっとも良くないです!
何で日本に帰って来るんですか!
アメリカでの研究は?
途中で投げ出して来たんですか?
そんなことされたら、何のために婚約解消したのか、分かんなくなっちゃいます!
あの時の別れの涙を、無意味なものにしないで下さいよ!!」