ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
一気にまくし立て、ハァハァと息を乱した。
両拳を握りしめ、顔を真っ赤にして怒る私を、
久遠さんは涼しげな目で、受け流す。
「婚約解消? そんなものを、承諾した覚えはないぞ?
俺達は別れていない。
4年間、音信不通の遠距離恋愛をしていただけだ」
「なっ……」
何を言い出すのだろう……。
私は別れのメールを、送ったのに。
確かにそれを了承する返事は貰ってないけど、
4年もの間、全く連絡がないなら、別れたと思うのが常識でしょう?
音信不通の遠距離恋愛?
私の辞書に、そんな言葉はないんだけど……。
別れていないと言われ、呆気に取られる私。
口をパクパクさせながら、何か言い返さなければと思うけど、上手い言葉が浮かんでこない。
金魚みたいな口になっている私に、久遠さんはクスリと笑って言った。
「俺達はまだ婚約中だ。
それと、アメリカでの研究を途中で投げ出してきた訳じゃないから安心しろ。
それについては後で教えてやるとして……俺は今、社長就任の挨拶途中なんだが。
この騒ぎをどう静めればいいのか、教えてくれ」
そう言われて、やっと意識に入ってきたのは、煩いほどの周囲のざわめき。