ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
そんな風に焦ったり恥ずかしく思うのは、どうやら私だけのようだ。
私の背後には、紙を捲る音や、ボールペンを紙に走らせる音が、絶え間なく聞こえている。
なぜこんな体勢なのかは疑問だが、
久遠さんは言った通りに、私を待たせて、書類チェックを行っている最中だった。
「久遠さん、あ、あの……」
「何だ?」
「待ってろと言うなら、ちゃんと待ちますので、これはちょっと……。
誰かが社長室に来たら、困りますし……」
「そうだな」
私は、至極まともな意見を述べたつもり。
久遠さんも、同意してくれた。
それなのに、私の腰に回される腕に外れる気配はなく、
むしろ力が強まった気がするのは、どうして……?
久遠さんの太ももの上でアワアワしていると、耳元に低く艶めいた声が忍び込む。
「モゾモゾ動くな……変な気分になるだろ……」
その言葉と同時に久遠さんの左手が、私のウエストから移動を始めた。
腰からヒップへ。
ヒップから太ももへ。
スカートの中の内ももを、ストッキングの上から撫でられる。
「く、久遠さん!」
「もう少し待ってろ……7月の出荷量が15万3624……原価率が……。
おかしい、なぜこんな数字になる?
ここも計算し直しだな。後はここと、それから……」