ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
彼の側には、買い物途中の若い女性が二人いて、
心配そうに声をかけながらも、値踏みするような視線を向けていた。
駆け寄って、
「私の連れですので」
と、間に割って入った。
近くで見ると、かなり顔色が悪かった。
まさか、ここまでのダメージを与える結果になるとは思わなかったので、
急に申し訳ない気持ちになった。
やり過ぎたことを反省し、彼を心配した。
「久遠さん……
あの、大丈夫ですか?」
声をかけると、うなだれていた顔を上げて、彼が私を見た。
綺麗な黒目に私が映った次の瞬間、
腕を掴まれ、壁に背中を押し当てられる。
逞しい二本の腕が顔横に突き立てられ、捕まえられてしまった。
全女子の憧れ、壁ドンされた状況で、
ときめくのではなく、焦っていた。
久遠さんが眉間にシワを寄せ、
恐い顔して睨んでくるから。