ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
店員さんは壁ドン真っ最中の私達の横で、笑顔で下着を掲げている。
右手には花柄ピンクの、ブラとパンティ。
左手には、黒で縁取られた赤いレースの2点セット。
今はそれどころじゃないと、首を横に振る私を見て、
お姉さんはなんと、攻撃の矛先を久遠さんに向けてしまった。
「デートですか〜?素敵な彼氏さんですね〜!
ちなみに彼氏さんは〜こっちとこっち、どちらの下着がお好みですか〜?」
ちょっと待て!と言いたかった。
彼氏ではない久遠さんに、何てことを聞くんだ。
下着を選ばせるということは、
それを身につける私を想像させるということ。
恥ずかしい……いやそれ以前に、
久遠さんは具合が悪いのに!
色々ひっくるめて、「NO!」と言いたい私だが、
久遠さんは私の肩から顔を上げて、虚ろな目に下着を映すと、
黙って花柄ピンクを指差した。
あ、私の好みと同じだ。
堂浦さんには馬鹿にされたけど、
久遠さんはセクシーな物より花柄ピンクが好きみたい。
良かった……
いやいや、そうじゃなくて!