ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
そう言われて、喧嘩の原因はそれだったと思い出した。
レディースデイとセクハラ、女性差別がどうのと、
それで喧嘩したのだった。
いつの間にか、そんなことは忘れていた。
最後の方はただ……
私を信用してくれない彼への嫌がらせ。
子供じみた仕返しになっていた。
やっと冷静に省みることができて、私も謝った。
「私もごめんなさい。今日はやり過ぎました。
久遠さんと知り合ってまだ数日なのに、信用しろと言う方が無理ですよね……」
“信用”
その言葉を出すと、なぜか久遠さんは瞳を厳しくした。
目線は天井に向いているが、
その目はもっと、遠くを見ているような気がした。
少し間を置いて、彼はポツポツと話し出す。
それはこんな打ち明け話だった。
「青空ビールに入社する前は……
カルフォルニア州のとある研究所で、研究員として働いていたんだ……
そこで俺は――――」