君から好きを引き出す方法



ヤバイ・・・。



そうだよ・・・、



弱っていようが



玄は玄なのに。




咄嗟に働く危険予測。


だけど遅すぎたそれは玄の腕につかまって意味をなさず、それでも振りほどこうと必死になるのに。



「離して・・・」


「なんで?」


「もう、帰る・・・く、暗いし・・・」


「ああ・・・・泊まっていけよ・・・・」




その言葉に鼓動が速まる。




泊まる?



どう言う意味?



看病で?




そんな筈がない。


自分でも分かるからここに来た事を後悔し始める。




「帰る・・・・離して・・・」


「帰したくない・・・・」




静かな部屋で変な緊張感がうまれ、強気に返しても全てが玄のテリトリーの中私に勝ち目はない気がして。


不動だった繋がった手が玄によって引き寄せられる。


心臓が破裂する・・・。




「い、嫌、帰る・・・」


「帰らない・・で・・・・」



引かれる腕に抵抗の意思を表して逃げようとしたのに、玄の寂しげな一言にその抵抗が緩んでしまった。


玄を振り返れば熱のせいなのかやや切な気な表情を浮かべて私を見つめ返す。





ヤメテ。



そんな目で見ないでよ。




「は、玄、離して・・・」



本気でヤバイと思った時はだいだい遅いんだ。


そして追い打ちをかける事実・・・・。



「・・・玄って、・・・初めて呼んだな・・・」



言われて気がついた。


初めて本人に向かって名前で呼んだ。





【あなた】から【玄】





その事実が微妙に塞き止められていた空気を瞬時に壊してしまった。




「駄目だ、・・・・抑えられん・・・」


「っ・・・・」




熱があるくせに力強く私を引き寄せると玄の熱で温められたベッドに押し倒された。



「やっ・・・んんっ・・・」



驚く間もなく玄の唇が私の唇を塞いで、塞いだと同時に舌が艶めかしく私の中に入りこむ。


熱のせいなのかいつもより熱いキスと身体に動揺してしまう。


だけどいつもと違って玄は怯む事なく、熱い身体の下に組み敷いた私の胸に手を置いた。




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