君から好きを引き出す方法
それでもその笑い方にどこか力の抜けた素の彼を感じて、さっきほど嫌悪は薄れて溜め息をつきながらそれを指摘した。
「・・・・でも。あなたも嘘くささが無くなった」
「ふっ、そうかもな・・・。嘘だってバレてる奴に嘘ついても仕方ねーし」
「・・・そっちの方がいいと思う」
「あっ?」
「・・・嘘くさい愛想を振りまくから嘘くさい人達しか寄ってこないんですよ。
玄と書いてハルさん」
あっさりと知っていた情報を口にすると、少し驚いて私を見つめる姿に鼻をフンと鳴らして視線を外した。
「あっ?お前、俺を知ってたのか?」
「海里の写真の中で何回か見たし、話にも出てきたので」
「知ってて名前聞いたわけね」
「ただの確認です」
「・・・・お前はまた防御態勢に戻るのか」
「私は、心開いたわけじゃないので」
そう、さっきよりマシになっただけで別に特別仲良くなりたいわけじゃない。
動揺していた心中もだいぶ落ちついて、ここにいる意味はないと判断すると会場の方へ足を向ける。
「・・・・私、中に戻ります」
「美咲~」
呼び捨てかよ・・・。
瞬間的に舌打ちが出そうなのを堪えて振り返ると、馴れ馴れしいと睨みつける。
「誰が呼び捨てしていいって言いました?」
「名字知らんし。どうでもいいだろ」
「馴れ馴れしい人は嫌いです」
「なぁ、また紅くなってみせろよ」
「悪趣味。それと煙草、私大っ嫌い」
ああ、子供のように感情的な言葉を吐いてしまった。
まるで煙草が嫌いだからもれなく吸う人の人格まで嫌いだと言っているようなそれに少しの罪悪感を感じつつ。
それでも早くこの人から離れようとヒールを響かせ歩き始める。
だけど、逃がさない。そんな感じに後ろから絡みついてきた手につかまって。
驚きながら振り返ると絡んだのは危険で妖艶な頬笑み。
「煙草が嫌いね・・・。好きにさせてやろうか?」
「はっ?何を・・・」
言葉尻を呑み込んで与えられた感覚に目が眩む。
これは・・・・・未経験・・・。