君の世界


「…だよ?」

僕の背中で呟く幸雄は部屋に入ってもうつ向いたままだ。


「あいつはなんなんなだよ?」


いきなり僕を振り向かせ肩を激しく揺する。


「あいつ?」


「いつもいつもいつもいつもお前を連れて行くBMの男だ!」


「あぁ~真中か…僕の主治医だけど?」


「それだけじゃないだろ?」


「それだけって、何が?」


幸雄の気持ちとか考えを知りたかったから態ととぼけてみせる。


「あいつと何やってんだよ!なんでいつもあいつと同じ匂いがしてる?」


「匂い?幸雄はいつそんなのかいだんだ?」


「飯島が病院に運ばれたときに、微かに香水の匂いがしてた…それがいつもお前から匂うんだよ…」


「なんで…」


「嫌なんだ!俺はお前が好きなんだよ!だから嫌なんだ!」


そのまま幸雄は僕を押し倒しキスをした。


肩で息をする幸雄に感情を乗せない目で見つめる。


「ごめん…俺はどうかしてる。」


僕の目線に気付き幸雄は出て行こうとする。


「待てよ。」


幸雄はドアの前で立ち止まった。


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