201号室の、オオカミくん☆
「…………」
「…………」
葵が同じ班の女の子にキャッキャ言われながら、お花や動物のクッキーを作る中、私は器具を洗い皇汰は拭いていた。気まずい沈黙の中で。
「何で喋らないの?」
「墓穴を掘りたくなくて」
私も同じ。皇汰の傷口に塩を塗り込みそうで。
それに……詮索はあまり好きじゃないから。
「あのさ。皇汰は諦める?」
「…………」
葵の楽しそうな顔を見て、胸が痛む。
私は葵の小さな視野の中に入ってきた珍しい人間だったから興味を持たれただけ。
少しずつ視野が広がれば、葵は私なんかじゃなくてもいい人がいると思う。
「私は諦めるか……そばに居たいか迷ってるよ」
皇汰の顔を見ながら苦笑いを浮かべる。