full of love~わが君の声、君の影~

「あの落ち着き・・見た目はとにかく大人の女性だな~あんな風に冷静にこなせるとカッコイイよな」
俺から上となると30代か40代か・・5個上くらいならいいなあ♪」
「どーせ顔覚えてないんだろ」
「へ?いや・・・ああ!目はパッチリしてた!可愛かった!うんあれは若いな、うん」
と俺は神の奴があんまり当然のように、しかも明らかに面白半分で言ってくるので
ちょっとムキになって彼女の顔の記憶をすり替えた。

すると「まったく」と神は俺の方に体を向けて、ゆっくりと足を組み直しながらやれやれという顔をした。
「あーあ。無理やり自己都合で脳内変換してるよ。妄想するのは勝手だけどお前のその勝手な期待は相手には迷惑にしかならねえぞ」
くう・・こいつに口ではかなわない。

「しかも看護師かどうかだけでガッカリした顔するのは失礼じゃねえか?親切に助けてくれたことに変わりはないだろう?」
その通りだ。
何も言い返せず俺はうなだれた。

「何だよ、さっきの熱苦しさはどうした?」
なんだよお前が落としといて・・

「運命の出会いだといいなあ~晴喜♪」
明らかにからかってるな。

確かに顔ははっきり覚えている自信がない。
でも声だけは耳に残っている。
穏やかで落ち着いた“信じられる”声。

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