full of love~わが君の声、君の影~

「あ!私もうしゃべって良かった?」
と声をひそめる

あれ?そういえば平気だ
「ああ!すみません!もう大丈夫みたいです・・」
「そっか良かった」
俺は緊張感からか敬語になっている。

とすぐに
家具は同じだの前よりリビングが広いだの
買ってきたものをいちいち説明し出したり
彼女はテンション高く話し続ける。

あ。あの時と同じだ。

前のマンションに来てくれた時
俺が押し倒してかわされた後の彼女がこんな感じだった。

「お腹減ったよ~電子レンジ借りていい?」
彼女は俺の返事も待たずにキッチンへいく。
「あれ?動かないよ?」
「え?」
「何だコンセント入ってないよ」
「ああやります」
「大丈夫だって」

かがんでレンジの後ろに手を突っ込んでコンセントを探る彼女。
俺も後ろから
「やるから」
と手を伸ばす

二人羽織りみたいにコンセントをさして
ピ。
「動いた動いた」

俺はそのまま彼女を後ろから抱きしめた。

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