full of love~わが君の声、君の影~
「ふ~ん・・俺とはどうこうなりたくなかったんだ・・」
「は?」
「どうこうなりたくて別れてくれたんじゃないんだ」
「・・・それとこれとは話が違うっていうか・・離婚は私の問題だから」
「じゃあ今日みたいなことがなかったらずっと黙ってるつもりだったの?」
「ずっと・・ではないけど・・」
しまった。結局責めてる。
「だから咲には感謝してる」
「?」
「咲が携帯を洗濯してくれたから・・今私がここにいる」
クスリと彼女が笑う。
また茶化してごまかされそうだけど
ここはのっかっていくのが正解な気がする。
「そっか、そうだね!俺も咲ちゃんにお礼言わなきゃ」
「神島くんの生写真でも送ってあげて♪」
「おっいいねそれ♪」
彼女が結婚をしているというだけで
届きそうな手を伸ばせなくて出せなくて辛くて切なかった。
それだけになんで早く言ってくれなかったのかと心の中で彼女を責めた。
けれど
今彼女が隣にいて笑ってくれている。
いいじゃんそれで
切ない間も今も幸せで穏やかな気持ちだったことには変わりはないのだから。