full of love~わが君の声、君の影~
「うわっ」
思わずのけぞる。
目の悪い彼女は眉間にしわを寄せ俺の顔をまじまじと見る。
「ごめん・・起こした?」
何となく声をひそめる。
「ううん、眠れなくて・・うつらうつらしてた・・」
「眠れない!?ごめん、寝心地悪かった?」
「ああっ!違うのそうじゃなくて」
そう言いながらあわてて身体を起こす。
「その・・においが・・」
「え?マジ?」
シーツ取り替えときゃ良かった!
「ごめん!臭かった?」
「あああっ!そうじゃなくて」
手を大げさにブンブンふる。
「じゃなくて?」
「じゃなくて・・・」
何故か照れたように彼女はうつむく。
「においじゃなくて・・香りって言えばいいのかな・・晴喜くん香水か何かつけてる?」
え?香水?
「つけてないけど・・?」
「じゃあシャンプーかなあ・・」
と言うとまたうつむく。
「シャンプーの香り?それっていい香り?」
「うん・・なんか・・ドキドキして・・」
ドキドキして眠れない?
「それって・・俺の香りでってこと?」
俺の胸がドクンと音をたてた。
次第に明るくなっていく部屋で
ゆっくりと顔をあげた彼女の頬がピンクに染まる。
「俺も・・ここに今日子さんがいるって思うと眠れなかっ・・」
言いきらないうちに俺は唇を彼女の唇に合わせていた・・