full of love~わが君の声、君の影~

あっけにとられるリポーターたち

「さっきのはウソです!」
「はい?」
「本当の俺の彼女は10個上のバツイチです!しかももうすぐハタチのお子さんもいます!つきあいだしたのは半年前というのはあってますが出会ってからは3年半経ちます」
さっきとはうってかわって1度もかまずスラスラ言える

「一般の方と言うのも本当で、妊娠したばかりでつわりも始まってます。だから彼女のコトはこれ以上詮索しないでください、お願いします!」
俺はそこまで一気に言うとまた頭を下げた
さっきよりも深く

場が白くなるほどの激しいフラッシュがたかれ俺はめまいを起こしそうになる

「出来ちゃった結婚ってわけですね?」
さっきとは別のリポーターが言ってくる
「いえ、その前からプロポーズはずっとしていて・・」
「今日の会見はここまでにします!」
急にマネージャーとスタッフが俺とリポーターたちとの間をさえぎる

俺はSPみたいにガタイのいいスタッフ2人に無理やり奥に連れて行かれ
レポーターたちの怒声が響き渡った

「何て事をしてくれたのよ!」
当然チーフマネージャーが怒鳴る
「スミマセン・・」

その会見の様子は夕方のニュースで何度も何度も流された
予定より大幅に短かったから各局ほとんどノーカットで;

それからスポーツ紙・週刊誌あらゆるところが好き勝手に書きだした

だがどこも“年上女性と出来ちゃった婚”“不倫の末の略奪婚か!?”は共通だった

そして写真も名前も公表していないのにも関わらず
どこで調べたのか彼女の元夫がうちの所属レコード会社の宣伝部長だということが報じられ
夫とうまくいかない主婦の苛立ちに俺がたぶらかされたかのように書かれていた

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