full of love~わが君の声、君の影~
「ぶっあははは、なんでその格好なの?」
ワインレッドのドレス、結婚披露パーティーの時に着ていた服だ
『なんでってこの格好で棺に入れたのはそっちでしょ!』
「ええ?そうだったの?・・・あーごめん・・俺葬儀のときの記憶ほとんどなくて・・きっと咲ちゃんが選んでくれたんだな」
『そうなの?』
化粧もばっちり、髪もキレイにアップされている
最初の出会いの時とはまるで間逆だな
『棺に入れられたまんまの姿で霊になるらしいのよ』
今日子さんはそう言いながらベッドわきの丸椅子に腰かけ脚を組む
スリットが入っているので素脚があらわになってドキッとする
幽霊でも脚あるんだ・・
「タイツは履かせてもらえなかったんだ・・」
『!』
俺の視線に気がついてあわてて脚を組み直す
「なんだよ減るもんじゃなし」
『幽霊の脚見てどーすんの!』
「今日子さんのならいい」
お、幽霊でも照れるんだ
今日子さんはこういう俺のからかいに口は強がるクセに顔には照れがすぐに出る
懐かしい
でも顔が赤くならないのは幽霊だからか
途端俺の目から涙がぼろぼろこぼれ出す
「会いたかった・・ずっと・・幽霊でも会いたいってずっと思っていたよ・・」
たとえ5年という月日が流れても
今日子さんのいない日常に慣れたとしても
その想いだけはずっと変わらなかった
ふいに頭に手を置かれた感触がした
あの懐かしい感触
それがすぐに消えると
うつむいて泣いている俺を今日子さんは抱きしめてくれた
その感触はなかったが姿でわかる
『ごめんね・・いっぱい泣かせてごめんね・・』
俺は頭を振った
今日子さんも泣いている
でもそれは声だけ
幽霊は涙を流せないらしい