full of love~わが君の声、君の影~

ガラガラガラ~!
突然引き戸が開いてさくらと駆け込んでくる

「おとうさん!大丈夫?」
やばっ。あわてて涙をふくが時すでに遅し;
「え?どこか痛いの?」
さくらが心配そうに俺の顔をのぞきこんでくる
「い、いやそうじゃなくて・・」
さくらの後ろの今日子さんと目が合う
「いや!そうなんだ~頭が痛くって・・」
そういえば頭がズキズキする

「大の男が何言ってんだか」
さくらの後ろからゆっくりと現れた母親があきれた声を出す
気がつくとさくらが泣いている
「もう・・おとうさんまでいなくなったらさくらはどーしたらいいの・・」

ああごめんよさくら。事故に会った時に“今日子さんにやっと会える”なんて思ってしまった
さくらを置いていくことになるなんてことまで思いいたらなかった;
ひでー父親だな俺・・;

さくらを思いっきり抱きしめた
最近これをすると恥ずかしがるようになってきたので心配だったが
今日は逃げないでくれている
小さくて可愛い愛しい我が子。

「そうださくら!お父さん実はお母さんにね・・」
『ダメよ!言っては!』
今日子さんの声に思わずビクッと身をふるわす

「どーしたの?おとうさん?」
「ああごめん・・おとうさん夢でお母さんに会ったよ」
ホッと息をつく今日子さん

「えーどんなだった?どんな格好?」
どんな格好?そこ聞く?

「えーっとおとうさんとの結婚式の時に来ていた服だよ」
「写真の?ウエディングドレス?」
「じゃなくて赤い方」
「ふ~ん、この前さくらの夢にも出てきたよ」
お?もしかしたら幽霊の今日子さんが見えてたんじゃ・・

「パンダの着ぐるみ着てた♪」
「完ぺき夢だね・・;」
さくらとの会話はいつもこんなだ
今日子さんが楽しそうに見ている

「先生に聞いたら一応検査入院だって?さくらはうちで預かるけどそれでいいね」
「悪い・・腰は大丈夫?」
「お父さんが車出してくれたから」

母親はさっさと俺の着替えや身の回りを片づけると
「もう遅いから帰るわね」とさくらを連れて帰って行った

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