full of love~わが君の声、君の影~
「ホント、すみません」
「いいえ、神島さんって人見知りしない方なんですね」
「いやあ、ああ見えてけっこう・・」
って神の話はどーでもいい!
「ああそっそうだ!ニット帽かぶってて暑くなかったですか?もしかして目印にかぶってくれていたんですか?」
「ふふっだって顔なんて忘れちゃったでしょ?」
「そんなこと・・」ないって言いたかったけどかなり脳内変換されてたかも・・ニット帽なくしてわかったか自信がない
それを読まれたようで恥ずかしくなる
俺が一瞬言葉につまっていると
「あのこれ・・」と彼女は紙袋を差し出した
「娘と一緒に作ったんです・・今日のお礼に・・良かったら皆さんで」
え―――!
「そんな気ぃ使わなくてもっ助けてもらったお礼の今日なのに・・」
「助けたなんて大げさです。田中さんこそもう気になさらないでください。それにこれは娘の分のチケットまでくださったお礼です。2人で作ったなんて言いましたけど、ほとんど娘がやったんです。お菓子作りに関しては私より上手いんですよ」
「へえ・・そっかありがとう」
娘さんに向かって言った。彼女より大きな二重、スッと通った鼻筋・・あまり似てないか?
「じゃあ遅くなるとまずいんでこれで」
「え!もう?」
「はい今日は本当にどうもありがとうございました!私も娘も一生の思い出になります!では」
ペコリと頭をさげるとあの時と同じようにさっさと背を向けてドアの外へ消えてしまった。