full of love~わが君の声、君の影~

「帰ろうっか」
2人して手をつないで歩く
今日子さんはしばらくは手だけ実体化していられようになった

墓地の入口の石段にさしかかった時
下から見覚えのある人がのぼってきた

「あ」
鈴木冬馬の母親だった

「この間は本当にスミマセンでした!」
彼女は俺に気づくとすぐに頭を下げた
「いやあ・・ケガさせたのはこっちだし、あれはお互いさまにしましょうと話したでしょう?」
「でも・・あの後冬馬を問い詰めたんです!ホント・・さくらちゃんに失礼なことを」
「俺もさくらから聞きましたよ。お母さん想いの優しい息子さんじゃないですか」
彼女の動きが止まる
何かまずいこと言ったか、俺;

見ると涙ぐんでる?
「・・あ・・スミマセン・・そんな風に言ってもらえるなんて思ってなかったから・・」
彼女は口をおさえて顔をふせる

俺はあわててジャケットのポケットをさぐりハンカチをさがすが・・ない;
すると
横から今日子さんはどこから持ってきたのかハンカチを俺に渡してくれた

俺はそれを受け取ると彼女に
「良かったら・・」
と差し出した


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