full of love~わが君の声、君の影~

パタパタと小さい足音が来た
ようやく開いたドアの陰から小さな瞳がのぞく
「こんにちは」
「あーしんいちだあ」
「あいかわらず呼び捨てだな;」

さくらはときどき晴喜がスタジオに連れてくるので慣れている
何故か下の名で俺を呼ぶ
両親以外に呼ばれることはあまりない

俺はいつも会うとそうするようにさくらを1度高く掲げてから抱っこする
「重くなったなあ」
そろそろこれも無理になってきたか

「おっ神。どうした?」
掃除機片手の晴喜がやってくる
拍子抜けするくらい声も顔も明るい
「行くってメールしたろ」
「そうか?悪い、メール件数ハンパなくて・・着信切ってた」
確かに葬儀の奴のあんな姿を見たら誰だって心配する

「掃除中だったのか?」
「ああちょっとやってないだけでけっこう汚れるもんだなあ。洗濯もたまりまくりで大変だったよ~」
「そうか。邪魔か?」
「そんなわけないだろ~嬉しいよ!ちょうどいい!今日は鍋にしようって言ってたんだ♪食ってけよ~」

晴喜の奴、葬儀の時とうってかわって妙にテンションが高い

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