full of love~わが君の声、君の影~
ピンポーン
眠っていたがすぐに目が覚めた。
彼女が来た!
「ごめん、寝てた?」
「うん、少し・・ってはははーまたニット帽かぶってきたの?さすがにもうわかるよ」
彼女は最初に会った時と同じニット帽をかぶってカーキ色のミニタリーコートを着ていた。
あのとき借りたストールが首に巻かれている。ニット帽とお揃いだったのか!
「急いでたから・・これが1番楽なのよっ」
急いで来てくれたんだ・・
すると彼女は背伸びしていきなり俺の額に手を当てた。
「冷たっ」
急にひやっとしたので思わずよけてしまった。
「ああごめんごめん、冷え症だから」
「でも冷たくて気持ちいいかも・・もう1回やってみてください」
今日子さんの目が光る。
「こう?」
両手で頬をビタっ!と触られた。
「冷たっ!」
あはははと今日子さんが笑う。
あ
初めて見たかも。ホンキの笑顔。
電話越しじゃない笑い声も。
その顔にその声に心の底からホッとする。
「あれ?どうしたの?この傷?」
瑠南にビンタされたときの頬の傷に気づかれた。
「ああこれはそのちょっと・・」
昨日のTVではメイクでごまかせたのだが。
クスリと彼女が笑う。
「まだ熱あるね、体温計を持ってきたから計って」
とこれも最初に会った時と同じナナメがけの茶のバックからさっと取り出して俺に渡した。
「寝てて。台所借ります」
とさっさとあがって一通り防寒具をとってカウンターの椅子にかけると
「おじゃましま~す」と腕まくりをしながらキッチンに向かった。
俺はというと不思議とさっき吐いたからか眠ったせいなのか少し楽になっていたが
言われるがままベッドで横になり体温計をわきにさした。