full of love~わが君の声、君の影~
俺は彼女から離れ枕に頭を戻した。
「スミマセン・・」
頭がクラクラする。
俺は腕で顔を隠した。
子ども扱いされた俺はカンシャク起こしたただの子どもになってしまった。
恥ずかしい。
彼女がフッと息を吐く。
「私そんな風に言ってくれるほどイイ人じゃないよ・・ただもう誰にも嫌われたくないだけ」
もう?
「それに今日だって」
彼女は体を起してそのままベッドに腰掛ける。
「今度のライブのチケット目当てかもよ」
「はあ?」
また「かも」の話?
俺は顔から少しだけ腕をどかしてそっと彼女の顔を見た。
彼女はクスクス笑っている。
なんで?今俺がしたことも今までコトも全部許すみたいに笑えるの?
「だって去年のチケット取れなかったんだもん」
急に子どものような口調になる。
「え?去年来てくれるつもりだったんですか?」
「そうよ!ファンクラブまで入ったのに取れないなんてどういうこと?」
「スミマセン・・今年は必ず!」
「やった。ラッキー♪」
すっかり彼女のペースだ。なんかクヤシイ。
「でも・・本当にお礼それでいいんですか?」
「え?」
「だって最初俺らのファンでもないのに勝手にライブ招待をお礼だなんて・・
今日子さんの気持ち無視して“これなら誰でも喜ぶ”なんて俺の思い上がりも甚だしいじゃないですか・・」
「そんなことない!」
彼女の声のトーンが一気に上がってビックリする。
「それは・・最初は正直よくわからなかったけど・・ステージ見てすっごく驚いたの!これが路上でお腹抱えてうずくまってた人と同一人物なんて思えなかったもの!」
えーとそれはほめてくれてるのかな?
「人ってこんなに変われるんだって・・人ってこんなにキラキラ光れるんだって・・そのためにどれだけ頑張ったんだろうなあって思ったら涙が出たの」
彼女の瞳もキラキラと輝く。
こんなに弾んだ声を聞くのも初めてだ。
俺のしてきたことがこんなにも彼女の声に変化をもたらすなんて。
声だけじゃない。
こんな表情(かお)もするんだ。
声だけではわからないこともたくさんある。
でも・・