薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
『結婚しよう』

あの日、彼が迷いのない瞳で届けてくれた言葉を思い出す。

あのときは、あの瞬間がいままで生きてきて一番幸せだと思ったけど、そんなことなかったな。

結婚の報告をお互いの家族や友人にして祝福の言葉を返されたり、こうして結婚の準備を二人でしているときにも、幸せを感じることが出来る。

そんなことを思っていたら目尻がじんわり熱を持つ。
誰にも気づかれないように小さく息をついたところで、「そういえば」と美希ちゃんに話を振られた。


「外資系のMってすっごい人気なんですよ。結婚式の予約なかなか取れないって噂もあるんですけど。不可能を可能にするあたり、葛城さんはさすがですよねぇ……」

色んな角度から写真を撮りまくってくれた美希ちゃんの瞳が、今後はうっとりと宙を泳ぎ出す。

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